美しく咲く菖蒲と人生
先日小田原城へ行く機会があった。城の天守閣に向かって進むと、堀いっぱいの菖蒲が目に入る。菖蒲の花の美しさは自分で手をかけて育てているだけに身にしみて感ずる。水はあるかなどと目が行ってしまうが、土が直接見える。天然資源である水を大切にして、定時的に流すコントロールをしているのかと思う。必要にして且つ十分な手法をとっているのであろう。
私の家の菖蒲は荒井氏のうちから貰った。育て方の基本を書いたものも一緒に貰ったので、それに従って育てれば素人でも毎年楽しめる。有難いことだ。その荒井氏から菖蒲を見に来ないかと電話があり家内と一緒に見に行く。大通りまで迎えに来てくれ一緒に歩きながら境川の土手に沿って歩くと、何とあじさいが見事に咲いている。近くの皆さんがやってくれているようだ。江戸時代にはこの近くに本陣があったと思う。由緒ある場所だが住んでいる人の心掛けが見事である。そんなことを考えていると、玄関前にきれいに咲いた菖蒲が目に入る。それを見て、ここが荒井氏の家だとすぐに感づいた。庭に入ると菖蒲がいちめんに咲き誇っている。
今週もNHKの「プロフェショナル仕事の流儀」を見た。がん患者の専門看護師・田村恵子さんの仕事の流儀が出ている。今でこそ早期発見で心配無く生きられるようになった病気である。でもがんによる死亡率は高い。特に発見が遅れると大変である。治療の手立てがない状態になる。患者は迫りくる死への恐怖、心の痛みに耐えきれない。このような人にも田村さんは対話を通してその心をほぐしていってくれる。そして希望は必ず見つかるという。そのお手伝いをどこまでもどこまでもしていってくれている。尊い人だ。今という時を悔いなく生きる手助けをして下さる。
あの世とこの世は一体であるという。般若波羅密多心経には「色不異空 空不異色 色即是空 空即是色」と同じような意味の言葉が繰り返し強調されている。目に見えるものと目に見えないものは一体になっている。目に見えるこの世も目に見えないあの世も混然一体であるという。目に見えるTVの画像は目に見えない電波と一体である。昔宗教の世界で教えられたことは現在科学で言われている。自分らしく現在を生き充実させ納得のある人生を終える。ここに間違いない人生のあり方を見ることができるのではないだろうか。
菖蒲は花の美しさは勿論である。その葉には芯がある。あやめとの違いだ。家内は活けた菖蒲の葉の曲線が美しいという。言われてみれば何とも言えない美しさのある曲線である。中小企業の経営でも独自の美しさを出せるのは、自然と一体となって独自の生き方を発見し、地域で生きられる人たちであろうと考える。
松井義近
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