和洋融合の店開店
(和と洋が一つの菓子屋)
南仲通りを自転車で通った。和菓子の店の前に若い女性が大勢並んでいる。今日が開店日だと思いだした。この店は家内が和菓子を買う時に利用している。純和菓子の店で柏餅、十五夜の団子、祭りになるとお赤飯というようなものがすぐに頭に浮かぶ。ここの息子さんが洋菓子作りの勉強をしていることは聞いていた。三代目の息子さんの洋菓子と、二代目の現純和菓子の店とどのように展開するのか興味を持っていた。
(自作の看板)
開店二日目家内と共に店に出かけた。表にご主人がにこやかな顔で立っておられる。大きな杉の木の根っこの部分だろうか大きな凝(コ)った看板があがっている。逸品である。簡単に入手できるような品ではない。そこに鮮やかに「菓子や」と書いて彫ってある。ご主人の書いたものであり、作ったものと聞く。看板の両脇には「鍾馗(ショウキ)」像が控えて魔除けの護符のようだ。和の店に相応しい感じである。
(ネーミングと和洋の融合)
中で商品を見る。「おじいのマドレーヌ」・・「国産の米飴と蜂蜜を使用した、どこかなつかしい、やさしい甘さのマドレーヌ」。と書いてある。「おとうのどら焼き」・・「じっくり二日間かけて仕込んだ、つぶ餡を使用した、豆の薫りゆたかなどら焼き」。とある。そして「むすこのろーる」、親子三代続いた店であることはすぐわかる。それ以上に家庭的親しみを込めたネーミングである。「パイ饅頭」パイは堅めに焼いてあり、中の粒餡のかたさがいい。抹茶でくるんだケーキ、器にイチゴなどの実が載っている。ケーキかと食べるとプリン、後で調べると器は有田焼、そばつゆ用に使えそうだと家内が喜んでお勝手の戸棚にしまってしまった。この品は限定品のようだ。隣のパン屋さんも協力し、商売同士の感覚・協働の心を感ずる。この店の洋菓子を見ると、和菓子だけより洋菓子もプラスとなり、行く頻度が前より高まるだけではない。粒餡や抹茶の利用等和の味をうまく取り入れた新しい魅力が加わった店が出来上がったと思う。
(理念と新モデル)
「しおり」が入っていた。「感謝 今日も朝から菓子にふれる幸せ 春の花 夏の風 秋の月 冬の空 藤沢の町と人が大好きで この町で菓子を作れる事に 日々 感謝 松月堂わびすけ」
店の名前は「松月堂」、よく見るとそのわきに「わびすけ」と書いてある。「わびすけ」は椿の一種であり、大辞典で調べると、花は一重咲きで赤紅地に白の更紗模様がある。茶花に用いられるようだ。若主人に聞いてみた。「日本人は桜が好きだ。“わびすけ”は赤い花に白い模様が入った、味わいある花である。私はこの花が格別に好きだ。店を作るときはこの「わびすけ」を店名にしたかった」。個性豊かな若主人、しかし今回は「松月堂」を大きく、そのわきに小さく「わびすけ」が載っている。そして和洋融合のビジネスモデルを作り上げた様である。消費者に価値が認められてよく売れるビジネスモデルの仕組みを作り上げて下さるよう期待している。これで「しおり」の理念が実現される。
松井義近
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