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2008年3月30日 (日)

実現への思索

Dsc01241  永年経営コンサルタントをやって来て失敗も多かった。なぜその会社はうまくいかなかったのかと考える。先方がこちらの言うことをやらなかったのか。そんなことはない、こちらの問題である。相手は立派な経営者である。少しばかり経営の勉強をした思い上がりの強い人間が何を言うのか。口には出さなくてもそう反発したくなることであろうと思う。コンサルタントは相手の欠点を見つけて、そこを徹底的に改善を図る。考えてみれば当然のことのように思う。しかし、相手にとってみればまずい点を厳しい言葉で聞くのは楽しいことではない。中小企業の経営者は会社と一体である。こちらの言い方によっては自分の身にしみることである。ましてや診断には相手がお金を払っているのである。お金を払っている人は一般的な言葉でいえばお客様である。だが中小企業診断士はもともと公共の診断をやるために生まれたので、お金を払うのは行政機関である。今は制度が改正され、国家試験に合格した民間の経営コンサルタントである。

お医者さんは人間の病気を治してくれる。特に外科的な手術は直してくれる先生に生命を預ける。お医者さんと同様、経営も破産の危険を改革せねばならない時がある。手術をして経営を再生させる。その様な時も含めて本当に経営を強化するためにどうあるべきか。健全な財務体質にすることは大切である。しかしその上に他と競争して企業が勝ち抜けるには、その持てるストロングス(強い点)を発見し、これをいかに延ばすかを考えねばならない。しかし人間は自分のことは自分で分かりにくい、これが普通のようだ。地域の発展も同じようなことがいえる。地域の持てるストロングスをいかに発見し伸ばすか。これにより他との差異化も進み、人々に認められる。人間の場合も、経営の場合も、地域の場合もこれを言う人がいなければならない。これを果たせるのが本当のコンサルタントであろう。そのためには経営コンサルタントも指導的立場にある人も、人間性を向上させ、技術的方法も磨かねばならない。私などがとやかく言える立場ではないが、これについて考え方とありかたを述べたのが「事業強化プログラム」である。

その中は「向上の三式」でまとめた。第一部理念と機会開発。第二部は事業分野ではA個店・B地域、第三部を人材面と大きく三つとした。経験的にいえば、行きづまった時に勉強し実際にやったのは「気功」であった。その考え方で、人材の中に三つのやり方を設定したのが行動特性1,2,3である。1、謙虚に学び志を立てる。浄化・感謝/傲慢・排他 2、ニーズ対応の得意技を磨く。調和・公平/エゴ・偏屈 3.志念エネルギーによる具現。生気・集中/邪気・散漫である。

技術的なことは本プログラムでは第二部で述べることになる。顧客に販売する人はどのように訓練するか。その中に「応酬話法」がある。反対処理の方法 ①直接法(yes おうむがえし法ともいう。②逆転法(but) 話をよく聞き「しかし、そうおっしゃいますが・・」と話す方式。別に話法の基本的なものとして「暗示的な話し方」がある。①肯定的暗示 「その通りです。だから・・」と進める。②否定的暗示 「いいえそんなことはございません。ピッタリです。」と一度否定し、ピッタリで結ぶ方法である。イェスバット法と同類である。イェスバット法は街づくりを担当している久保田弘氏が、最も使う方法と推薦していたが実際に担当しての結論であろう。暗示的な話し方にはこのほか直接暗示、間接的暗示、疑問暗示、逆暗示等の手法も出てくるがここでは省略する。いかにして企業をよくするかはすべての事業について共通の課題である。自分は正しいと思っても相手とよく話し合わねばならないが、スムーズに進めるのは永遠のテーマか。

                          松井義近

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2008年3月23日 (日)

事業強化におけるサービス

Dsc00904  (洞爺湖)

顧客の買い物行動を見ると、普段(ケ)の買い物はどこで買うか大体決まっている。ある程度高いものを買う時も行ってみるところは決まっているようである。店にとっては固定客になっている。すべての買い物がそうであるとは言えないが、お店の普段の努力が顧客への信頼感となって結びついているといえよう。これは顧客の方では買い物のニーズが生じたとき、その街のその店がファーストチョイス(最初に選ばれる)の店になっているのである。信頼を裏切るようなことがあったり、気に入ったものがなかったりすれば客は離れる。

 企業が事業を強化しようとする場合、核心は何だろうか。顧客が何か買うニーズが生じたときに、それに対してファーストチョイスにならねばならない。競争であり、選ばれる順序の低い方から振い落とされる。このためには業態構築をせねばならない。商業関係の診断・支援を50年近くやってきて、その柱を考えると次のようになった。業態構築の柱 1.情緒的顧客満足(マインド) 2.生活テーマ別専業化(市場) 3.構造的に付加価値を(マネジメント)。それぞれの中はそれぞれ3項目程度になるが、そのなかで企業への質問項目を一つだけ出してみる。1.地域で一番のサービス(商品以外)は何か。2.地域で一番の商品は何か。3.使命感に燃える組織・人材か。である。商品は同じような質・価格なら、何で差別化してお客に訴えるのか。これは商品を売らないお医者さんでも同じである。差別化してファーストチョイスになるサービスが必要である。

 「サービスする」とはお客様に満足していただく努力であり、自分の人間性を伝えることになる。事業は顧客と商品サービスを結びつけるものであり、お客が主体で商品サービスを買うものである。同じ売場、同じ商品を扱っていて、店長が変わると売上が違う。これはサービスが違うといえる。

  よいサービス=自分のつとめ×心づかい

(1)自分のつとめ

 サービスとは元来は自分の果たすべき勤めであり、これをいかに果たすかである。プロと言える人は他人よりも勉強し実地の経験をし、パターンを豊富に蓄えた人で、その道の一流の人である。その勤めを他よりも前に出る熱意で果たさねばならない。まず顔を覚え名前を覚えよう。商品知識とサービストークを身につけよう。熱意は使命感から始まり、なぜかという興味が引き出し、自分の知識が築きあげ、経験と未来の見通しにより信念となる。

(2)心づかい

 ある飲食店の社長が教えてくれました。「店員の対応はお客様に気配りが足りない。来られたお客様は自分が招待したお客と思ってやればもてなす心が出てくる」と。このような心構えの基本が大切である。一般的には感じの良い態度として、まず誠実、日常的に挨拶がキチンとでき、さらにスピードとスマイルが必要である。

(3)個別対応ができる

 これらの上にお客の心や好みが分かり、個別対応できるお客を作っていく。今日一人でいいのだ。明日はまた一人でいいのだ。一人から始めてください。必ず結果が出ます。これが気持ちの良い積極性である。

                                松井義近

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2008年3月16日 (日)

客は誰か

Dsc01000  昭和32年4月、初めて中小企業診断員に登録して暫くたつと、流通革命論が華やかになった。当時、東大の林周二先生から問屋無用論や大型スーパーの予測に魅せられて熱心に話をきていた。問屋はなくなっても問屋機能はなくならないだろうと仲間と話したが、スーパーマーケットは全国にいくつ出来るだろうかと、映画館の数と比較してみたりしていたものである。スーパーは間もなくチエン化し、売れ筋の大量仕入れ大量販売の威力を発揮するようになった。セルフサービスによる一人当たり持つ売り場面積は労働生産性の向上に大きく寄与したのである。

当時から問題として研究対象としたのは生鮮食品である。 野菜や鮮魚をまとめて買っても、市場の値段は安くならなかった。そこで野菜は契約栽培となり、安定した値段で均一した商品を仕入れる分野が大きくなった。国内で安く仕入れられないで、海外市場で仕入れて、安定性を維持してきた。しかし最近農薬の混入等、品質の安定が図れないで顧客から疑問を投げかけられている。

日経ビジネスの08.3.10号に「個店主義が効率を生む」が載っている。紹介された内容は鮮魚を中心としたものであるが、現場の目で店舗ごとに違う顧客ニーズをうまく吸い上げている。一駅先の店舗でも売れる商品は微妙に違う。顧客に合った品ぞろえは口で言うほど簡単ではないが、それに合わせた品揃えは売上に貢献し、売れ残りを防いでいるのである。ドラッカーは「顧客は誰か」を重視し、これを検討することから大きな成果を生んだと述べている。店の立地による顧客をよく知り、それに合わせた経営が出発点である。

「オオゼキ」の鮮魚仕入等における個店主義を、店ごとの商品仕入れの具体例でみる。

「御嶽山店」は田園調布といった住宅地の客も多く、近隣には高齢者も多い。高齢者向き刺身2点盛りは980円で多少高いが質がいいもの、家族向けに刺身6点盛り1,780円、手巻き寿司セット1,280円が陳列されている。

「雪が谷店」は商圏に単身者が多い。盛る数量は少なく、ボリュウムは多く値段も安く398円の刺身がある。

「松原店」は恵比寿や渋谷の飲食店が業務用の食材を買い求める。魚一匹まとめて売る。

「練馬店」の客は安い時にまとめて買う人があり、冷凍品も多いという。

このような個店の事例がみられ、「オオゼキ」全体の営業利益率は7.3%とよい。鮮魚の会社全体に占める比率が分からないが、鮮魚部門の貢献は高いと思う。

一般食品については「高井戸店」の事例があり、4,000種類の加工食品があるという。品目分類で4,000品目ではないかと思うが?。特に注目されるのは、「顧客の嗜好」に合う陳列棚を設けていること。ということは複数問屋から仕入れているものと思うし、一般食品の管理は別にやっていると思われる。「オオゼキ」全体の商品回転期間は3.9日。勿論一日の就業後の在庫であり、ロス管理をしていれば在庫は売価でやっているのが一般的である。それを考慮しても素晴らしい。

 以上特質は鮮魚部門が強いこと。ということは鮮魚担当者が強いのである。「顧客は誰か」を明確にして、そのニーズに合わせていけば、チエン化していない個店主義の店でも十分対応できる事例である。

                      松井義近

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2008年3月 9日 (日)

豊かな暮らし地域コミュニティ

Cimg1001 

1.グローバルに目を開いた地域コミュニティ

・時代が要請する地域協働体

 世界の大きな流れを見ると、稲作農法によりそれ以前に比べ遥かに多くの人が養えるようになった「農業社会」がある。次いでジェームス・ワットによる蒸気機関の発明から、産業革命がはじまり工業社会が到来した。一部資源は別であるが、今や物はあふれるばかり出来る。人々は物だけの世界に満足しなくなった。目に直接見えないサービスが大切になった。サービス社会に進んだと思われので、時代が要請するサービス社会に必要な活動を行うことが必要である。考えが内にこもると旧構造に縛られ進化しない。閉鎖的になると昔に逆行してしまう。考えはグローバルでありたい。

中国の最近の様子を見ると、共産党の一党支配のもと市場経済を導入し、GNPは毎年2ケタの伸びをしていると報じられている。経済のあり方を世界に目を向け、外部資本も入れ、安い労働力を使って大きく伸びてきたのである。

  街と住民がそれぞれ意味ある存在

 地域コミュニティは商店街やその地域に住む人たちの協働体である。お店の立場でいえば活力ある後背地(ヒンターランド)がなくては成り立たないことは自明である。地域住民にとっても気に入ったお店があることは有難いことである。お店には來街者の増加は必要であり、コミュニティの住民には緑があり花がある等、楽しく散歩できる街は歓迎される。このような街・住民は両者が一体となってやらねば実現しない。一体となるのが地域コミュニティである。

2.場の中で自分の特質を生かし働く

・ 地域は解決すべき問題の集合体・・コミュニティビジネス

 地域は解決すべき問題の集合体であることは企業と同じである。これを解決するために利益追求を第一とする考えでうまく解決できるだろうか。もう一方の純粋ボランティアの活動で長く続くだろうか。ここでコミュニティビジネスが出てくる。

  課題解決

コミュニティビジネスの目で問題を見ると

① 地元ストレングスから

 地域の名物、観光、伝統工芸、定年退職者の技術等が考えられ、土地の歴史・風土と人たちをよく知ることから始まる。

② 環境美化

 カブトムシが住む森、緑が楽しめる場所、四季の花が楽しめる場、常にゴミ一つない清掃されている場。

③ 雰囲気促進行事

 祭りのサポート、イベント企画、地域情報誌の発行等。住民が参画しともに働く協働により作り上げる。

 お互いをよく知り、その力を出せる場となれば、地域の人は「いきいき生きる」

 街作りで特別な開発を除き、今までのような大きな資金を投入しないで街づくりをしたい。日本の現在の経済状況を見ると、高額の借入金はその返済に行きづまる恐れがある。

3.人々が心豊かに暮らす向上の場

・ 相互信頼

 中国は孔子の考えを大切にしてきた国、人の道を説きそれを求めてきたと理解してきた。したがって私たちは中国の人々を信頼してきた。然し最近の中国は食品問題等、道義なき国家としか見られないのは誠に残念である。貧しい人も地方に多いようだが、そうでないない豊かな人も多い。尊敬できる中国になってほしいと思う。日本人だって同じと言えるかもしれないが。

  一人ひとりの底力

 今コミュニティに住む人々を見ると、みんな力を持っていると思うが、一人ひとりは個性がありみな違う。しかし趣味の会、スポーツ等出来ることから始めればグループを作ることは可能である。自分たちの手で一人ひとりの底力で作り上げねばならない。

 かつてドラッカーはこのようなコミュニティを作るのに日本の大企業に期待していた。しかし利益追求の企業にこれを期待することはムリと述べていた。コミュニティビジネスは企業とボランティアの中間に考えられている。軍隊的縦の組織でなく、ともに働く協働体の横組織になると思う。

  地域は子供が育つ土壌である

明るく緑豊かな地域の文化で子供は育つ。ストレスの多い世の中であり、心のケアが大切である。緑豊かな街並み・地域は「健康で心豊かな暮らしの場」となる。近くに図書館などがあれば地域のセンター的役割もできよう。

                            松井義近

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2008年3月 2日 (日)

事業モデル構築7.構造的に付加価値を

Dsc01113 (足立美術館の庭)

・内部組織的に(能力)

 ドラッガーは目標等の実現について次のように述べている。「人は使命を共有し、情熱をもって共に働くとき、最大の成果をあげる」と。たとえば「一生住み続けたいまち」を大きな目標にして、「街を愛し」「一般市民とともに」進めるならば「大きな成果をあげる」と言っているのである。外部組織については「グローバルコミュニティ」として別にのべる。

・新コミュニティと共に(ITネットワーク)

 情報技術(IT)により商流も物流も変わる。スピードが違う。変わったネットワーク社会から現在を見ることにより、今何をしなければならないかが分かる。その未来には日本型が作り出す21世紀があるはずである。たとえば従来のコミュニティは地域の地理的共同体だった。今は工業社会から次のサービス経済の時代、IT等を主力にして行く時代に変化している。人間を中心とした情報・知恵・技術を活用し、しかもぬくもりのある自由で自己実現を果たし得る新コミュニティを作る。

・ダイレクトマーケティングと地域ブランド

 以前「シアーズ・ローバック」を調べたことがあった。アメリカに新しい交通網が発達し、西部に新しい市場が誕生した。シアーズはこの機会を逃さず通信販売を始め、大きくなるにつれ通信販売の基地、物流工場を作った。日本においても道路が全国に網羅され、鉄道の小口便よりはるかに便利な、門から門へ荷物が動く時代が来た。これを意識し戦略的に力を入れた企業は成功した。これと共にブランド力を高めれば付加価値が高まる。中小企業の場合は地域の強みを調べ、地域ブランドを定めその商品の高級化を図れば、地域おこしとして有効である。いいものを適切な値段で付加価値が付けられる。

・コスト構造

 顧客が欲しくても在庫がなければ売りそこないの機会損失が出る。しかし売りそこなった機会損失は企業の損益計算書には出ない。このため、一般商店では「顧客情報」として毎日の報告書に載せねばならない。しかしクレームは誰でも人情として隠したがる。某社では社長が必ずこの日報を見る。そしてそれに対する意見が必ず本人に帰るようにして継続してきた。もちろん管理者経由である。事業の毎日は、当り前のことを守れと言ってきた。凡事徹底と言ってもよい。毎日の仕事は、奇策を求めず、やるかやらないかである。一方、過大在庫にならないためには「Nチャート」の作成や、コンピューターを利用して一括管理を進めることになる。

・平均粗利益率と管理

 現場責任者、店舗の店長が何をどう売るか、自ら計画し実施計画を作るようになり、粗利益は組織構造的に上るようになった。

 企業を長い間見てきたが、会社はよく潰れる。原因はもちろんいろいろある。よく目につくのは過大投資である。もちろん借入金は返せる計算で事業を始める。しかしその投資が自分の強みの分野であったかは疑問である。また、利益が出ていてもつぶれる会社がある。経理が強い会社はつぶれないと聞いたこともある。第一義的には「営業キャッシュフロー」(営業・投資・財務の第1段階の収支)の確保である。事業別、関連会社別に明確に把握していないと落とし穴に入る。

                           松井義近

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